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デギンの次男(三男説あり)。年齢等詳細は不明(宇宙世紀0068年没説あり)。彼の設定はアニメの準備稿には存在したものの、劇中にはその名は存在せず、世間一般には小説版で初めて名前が登場した。また一説には安彦良和のキャラクター原案のラフスケッチが一部ファンに流出し、そこから生まれたキャラクターともいわれる。後のギレンとドズルの原型となるらしいスケッチ画が残る。
一年戦争時には既に死亡していたため、アニメの『機動戦士ガンダム』作中には登場せず、小説版でも政治家としての能力が高かった旨が語られるのみで、その人物像は長い間不明だった。
在命中のサスロ・ザビは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の「シャア・セイラ編」で初登場。そこで描かれる外見は、ギレンの目つきの悪さとドズルの屈強な体格を併せ持っている。彼はムンゾ国民運動部長としてマスコミを牛耳り、世論操作などを行っていたとされる。仕事ぶりは非常に良かったが、ダイクンの遺児を取り逃がした妹キシリアを殴り、それを咎めたドズルにもしつこく文句をいうなど、性格面においてもギレンの傲慢さとドズルの粗暴さを併せ持つという負の側面が強い。
ジオン・ダイクンの葬儀の際、テロにより乗車を爆破され暗殺されたとされている。同行していたドズルは兄弟を守れなかったという後悔の念から、末弟のガルマを溺愛するようになった。また、彼の特徴である顔の傷はその時に出来たものであるという説がある。『THE ORIGIN』劇中では、この暗殺は彼に怨恨を抱いたキシリアの仕業と思わせる描写がなされているが、真相は定かではない。マスコミ操作により、世間ではザビ家と対立するジンバ・ラルの謀略と思われていた。なお、サスロの死に対して、ドズル以外のザビ家の面々は悲しむ素振りすら見せなかったことから、その高慢な性格ゆえ家族からも疎まれていたようである(というより、ドズル以外のデギンの子供達は、身内の誰が死んでもろくに悲しむ素振りを見せていない)。ドズルは死後も彼を偲んでおり、「パーティーなどの派手な行事に参加するのは嫌になった」と語っている。妻子については不明だが、ドズルの子ミネバが戦後のザビ家唯一の血筋だった事から子供はいなかったと見られる。
ドズル・ザビ
Dozle Zabi
声:長堀芳夫(現:郷里大輔、TV版・劇場版I)/ 玄田哲章(劇場版III・特別版I / III)
ジオン公国軍宇宙攻撃軍司令で階級は中将。身長210cmの巨漢。デギンの三男。放映開始時の年齢は28歳。次男説があり、その説によれば、親ダイクン派(旧ジオン派)によると思われる爆弾テロの際、同じ車に乗っていた弟サスロを守れなかったことから、自らを三男と名乗るようになったとされ、この時の傷痕を顔に残したのもその戒めだといわれている。一方、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では元から「サスロ兄」と呼んでいる。
なお、軍服の肩のトゲは威嚇用であるとも、従来のロボットアニメの”典型的な力押しタイプの悪役デザイン”の名残であるとも言われている。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では一年戦争以前はジオン士官学校校長をしており、彼の妻ゼナはこの時の生徒だったと描かれている。
通説では、ドズルは妾の子とされている。そのせいか父デギンからはあまり愛されておらず、むしろ不当なまでに酷い扱いを受けている。ドズルの死に対して、デギンはギレンですら憤るほど反応が少なかった。漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではさらに酷く、ガルマが士官学校の生徒達と蜂起した「暁の蜂起事件」の際、ドズルには殆ど責任はないにもかかわらず「能無し」と罵られた上にガルマ達の責任を全て負う形で士官学校校長の座を辞任させられている。
乗艦はグワジン級戦艦グワラン(小説版ではガンドワ)、ルウム戦役時はシャアに譲渡する目的で竣工され、将官用ムサイ級カスタム軽巡洋艦ワルキューレとも言われるムサイ級軽巡洋艦ファルメル。搭乗したMSはドズル・ザビ専用ザクIIで、両肩に刺がつき、カーキベースの金縁模様、ヒートホークはランバ・ラル専用ザクIと同じ大型タイプという、いかにも高級カスタム機らしい風情である。 ただしこれらは設定上の話で、彼の専用艦船やMSはアニメ本編には登場していない(グワランはソロモン防衛戦で出撃したが彼が乗っていたわけではない)。TV版第11話と劇場版Iでは、ガルマの葬儀に出席するためにズム・シティに帰還する際は一般型のムサイに乗艦している。
ルウム戦役後は、サイド5の空域に建設された宇宙要塞ソロモンに駐留する。ザビ家には父デギンをはじめ、ギレンやキシリアといった政治力に長けた人物が多いが、ドズルは政治に関与せず、純粋な武人として振舞っていた。指揮官としての統率力・指揮能力も十分にあり、部下の信望も篤い。また愛妻家としても知られており、家族に深い愛情を注いでいた。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、妻ゼナに向かって権力の増大とともに人間味を失っていく肉親たちを嘆いている。妻のゼナとの間に娘ミネバがいる。
当初はモビルスーツを軽視していたものの、一週間戦争の戦果によりそれを認めるようになった。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではこの通説と異なり、モビルスーツの開発を主導したことになっている。以後は司令官としてだけに留まらず、ザクIIF型(S型説もある)を改修した専用機を操り前線に出向くこともあった。これはポーズに過ぎないが、前線兵士の士気高揚に大きな効果を上げたという。戦場視察を名目に実戦に赴いたとの説もあるが、直属の部下たちから行動を諌められたとも推測され、戦果は記録されていない。
母ナルスの面影を強く残す弟ガルマを溺愛しており、彼の能力を高く評価して、ドズル自身をも使いこなすような将軍になれと言う程その成長を楽しみにしていた。ガルマは「坊や」など甘さを指摘されるが、占領した現地の住民と上手く付き合って不満を抑えることに成功しており、占領軍の統率者としては有能である。ジオンが勝利した後の戦後処理ではガルマのような人材は非常に価値が大きいことから、これは必ずしもドズルの身内の贔屓とは言えない。そのため、ガルマの戦死後には彼を守りきれなかったとしてシャアを左遷した。彼自身はシャアの処刑を主張していたが、デギンの裁定で左遷となった経緯がある。またガルマの仇討ち部隊としてランバ・ラル隊を地球に派遣している。また、左遷の後キシリアに登用されたシャアを牽制するために、サイド6に寄港したホワイトベースに対してコンスコン少将指揮下の機動部隊を派遣している。
地球連邦軍のチェンバロ作戦(ソロモン攻略戦)が開始される前にギレンへ援軍を要請するが、ソロモンに送られてきたのは試作モビルアーマー「ビグ・ザム」1機のみだった。通信での会議の席でビグ・ザム1機で2?3個師団にも相当するはずと豪語するギレンに対し、ドズルは思わず「戦いは数だよ」と不満をぶつけている。これは「まず兵数ありき」のまっとうな用兵概念に基づいた発言であり、猪武者・精神論主義者に見られがちなドズルのイメージが必ずしも正しくないことが判る。ただし、「ドムの十機も回さんのか」と呟きながら、ソロモン戦の直前、キシリア・シャアへのあてつけ目的で送ったコンスコン隊に艦四隻にドム十八機(劇場版では艦三隻とドム十二機)を与えるなど、彼自身も私情で貴重な戦力を浪費した事は否定できない。
宇宙世紀0079年12月24日、ついにティアンム提督指揮下の連邦軍によるソロモン攻略戦が始まると、地球連邦軍の量産MSジムやボールによる熾烈な攻撃や、新兵器ソーラ・システムにより甚大な被害を受け、劣勢に追い込まれる。もはやソロモンを支えきれないと判断したドズルは、妻子を脱出させた後にソロモンの放棄を命令し、自らはビグ・ザムに搭乗して出撃。残存兵力が撤退する時間を稼ぐため、連邦艦隊の中心部へ特攻をかけた。この時、士官用にカスタマイズされたノーマルスーツの多いジオン軍内にあって、敢えて一般兵用のノーマルスーツで出撃したドズルについて、安彦良和は「ドズルらしい」とのちに述べている。安彦はこのエピソードのTV版制作当時、過労で入院していたため設定に参加できなかったが、ドズル用ノーマルスーツ案を持っていた。
ドズルの操るビグ・ザムは強力な磁界(のちのIフィールド)を張り巡らせて長距離ビーム砲を無効化し、大型メガ粒子砲でティアンム提督の旗艦『タイタン』を撃沈、さらに拡散ビーム砲の斉射によって連邦軍のサラミス級巡洋艦やモビルスーツを多数撃破した。この圧倒的戦果に自信を得たドズルの「ビグ・ザムが量産化できれば連邦に勝てる」という意味のセリフは印象的であり、現在でも引用されることが多い。しかし、Iフィールドジェネレーターによるバリアシステムの弱点を見抜いたスレッガー・ロウは、自らが操縦するGファイター(劇場版ではコア・ブースター)とアムロ・レイの操縦するガンダムを合体させ、攻撃が有効となるギリギリの距離まで接近しての攻撃をかける。この捨て身の攻撃でスレッガーは戦死したが、ビグ・ザムはガンダムのビームサーベルで撃破され、ドズルは戦死した。その直前、ドズルは「やらせはせん!やらせはせんぞ!!」と断末魔にも似た執念の言葉を叫びながら単身ノーマルスーツ姿で無反動ライフルをガンダムに向けて発砲しているが、アムロはドズルの背後に立ち昇る悪鬼のような人間の情念を目の当たりにして戦慄している。劇場版ではもっと抽象的な黒い霧のような存在に描き直されている。ちなみに、劇場版のこのシーンでドズルを演じていた玄田は、TV版ではスレッガーを演じていた。
小説版でもTV版と同様にビグ・ザムで出撃し、ガンダムとの戦闘後に戦死しているが、いくつかTV版と大きな相違がある。まず戦場がソロモンではなくコレヒドール宙域(ソロモンとア・バオア・クーの中間点)であること、次いでスレッガーは戦死せず一年戦争を生き延びていること、死に際に彼の脳裏に浮かんだ妻の名がゼナではなく「ナルス」となっていること等である。
ドズルは策略家だったギレンやキシリアとは異なり、ザビ家の中ではもっぱら現場第一主義だった。戦略的視野に欠けた司令官として批判されることもあるが、基本的に有能な指揮官であり、前線の兵士の事もきちんと考えていたため、部下にも敬愛されている。また、基本的に軍事レベルでの立場に終始していたが、戦略と戦術の区別がついていた数少ない人間でもある。上述の「戦いは数だよ」発言や、『THE ORIGIN』における士官学校校長としての訓示等にその一端がうかがえる。
だが、それゆえドズルはそれぞれの派閥を作る親兄妹から孤立してしまい、ソロモンの危機に際しても、援軍を出したのはギレン一人で(それも未完成の試作モビルアーマー一機)、キシリアの援軍は到着せず、デギンに至っては黙殺していた。
彼の元にはシャア・アズナブル、シン・マツナガ、アナベル・ガトー、ランバ・ラルなど多くのエースパイロットが集まった。ザビ家という陰謀の館の中ではガルマと共に例外的に人間味があり、それ故にやがて孤立して戦いの中に散った悲劇の人とも言える。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では人間味のある部分が強調されており、ルウム戦役で殿を務めた僚艦の撃沈に涙したり、ルウム戦役の終結時には全軍に「すべての戦死者への敬礼」を命じる描写がある。またゲーム『ギレンの野望』ではルウム戦役で捕虜になった敵将レビルに敬礼するシーンもあり、武人としての礼節を重んじる一面もあったようである。
ガルマ・ザビ
Garma Zabi
声:森功至
ジオン公国軍地球方面軍司令。階級は大佐(『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では少将)。デギンの四男(三男説も一部である)。放映開始時の設定年齢は20歳。主な乗艦はガウ攻撃空母。
ジオン公国の士官学校を首席で卒業。実際は次席であり、首席のシャアがガルマに花を持たせ譲ったとも言われているが定かではない。ジオン公国の御曹司にして美男子という事でジオン国民の人気も高く、父デギンや兄ドズルからもその将来を嘱望されていた。基本的に優しくナイーブな青年で、育ちが良いせいか疑うことを知らず他人を信用し過ぎるため、ガルマを溺愛していた父デギンは彼が軍人の道を選んだ事をかなり心配していたようである。『THE ORIGIN』では猛々しい性格の他の兄姉と違って気性が優しいガルマに対して「お前は学者にでもすれば良かった」と心配する記述もある。また、右手で前髪をいじる癖があるなど繊細で神経質な面も見られた。そういった意味で、ギレンの国葬演説を聞いていたシャアによる「坊や」だという評はガルマの人柄を簡潔にして端的に言い表していると言えよう。シャアのガンダムシリーズを通してのただ一人の友人で、士官学校以来の付き合いである。シャアはザビ家への復讐のためにガルマに近づいたのだが、「お坊ちゃん」「坊や」と精神的な甘さを指摘する一方、「いい友人」発言など、彼の人格自体には、それなりに好感は持っていたような発言や描写も見られる。
一年戦争ではジオン公国軍の地球方面軍司令官として北米に拠る。実質的に地球方面軍は姉キシリア率いる突撃機動軍の麾下であり、彼はあくまで名目上の司令官でしかなかった。またその権限も実質的にジオン地上軍第2軍(北米方面軍)司令官程度の物に限定されている(但し、北米は豊富な工業力と食料地帯を有する上に南米の連邦軍本部ジャブローを牽制する要地でもあった)。占領軍の司令官としては割合有能で、軍規の維持に成功していたのみならず、現地の住民とも上手く付き合って協力を引き出している。彼の優しい人柄と社交性が発露されたといえばそれまでであるが、当時はコロニー落としで地球の住人のほぼ全てが強い憎悪を抱いていた点から考えると大成果と言える。 司令官でありながら、戦闘機(ブラウンに塗装された専用ドップ)に搭乗し(降下作戦にはザクIIFSに搭乗したという説がある)、前線に出撃する事も多かった。この事は、他のジオン将校や国民から、自らの地位・肩書きが親の七光りによるものと見なされることを嫌い、自ら功を挙げるため彼なりの懸命な努力を示さんとする行為でもあった。また、占領地として赴いたニューヤーク(『THE ORIGIN』ではロサンゼルス)の前市長エッシェンバッハの愛娘、イセリナとは結婚を誓い合うほどの恋仲だった。
シャアに「ジオン十字勲章」ものの獲物だと唆され、勇んでガウ攻撃空母を主力とする部隊を率いてホワイトベースを攻撃に向かうが、ガンダムをはじめとするホワイトベース隊の必死の抵抗の前に連戦連敗。ホワイトベースが北米大陸を抜け、太平洋に出ようとする第10話で「親友」シャアの奸計により、囮となってあらぬ方向へ逃走するガンダムをガウで追跡するよう誘導され、待ち伏せしていたホワイトベース及びガンキャノン、ガンタンクに無防備な背後をさらした瞬間、総攻撃を受けてしまう。その際、シャアから裏切りを告げられ、愕然としながら「親友」の正体(シャア=キャスバルということには気づいていないと推測されるが)と本性に気づく。嘲笑するシャアの声が響く中、ガウ攻撃空母の舵を自ら取り180度回頭させてホワイトベースを道連れにすべく体当たり攻撃をかけるも間一髪でかわされ、爆発四散するガウの中で戦死する。脳裏にイセリナを思い浮かべつつ叫んだ彼の最期の台詞「ジオン公国に栄光あれ」はガンダムの作中でも印象的なものの一つである。なおシャアがガルマを間接的に謀殺したという事実は表には出ていないが、シャアはガルマを守りきれなかった責任をドズルに問われ、左遷(予備役編入)されている。
ガルマの葬儀は国威発揚・戦意高揚のための国葬として、ギレンによって大々的に利用され、目論見通り絶大なる効果を発揮した。しかし、父親であるデギンは、身内のみでの密葬を望み、最後まで国葬に難色を示していた。ザビ家内で誰からも好かれていたガルマの死は、葬儀にも現れたように皮肉にもザビ家内の各個の対立を表面化させより深くする結果となってしまう。
TV版第11話ではガルマと恋仲だったイセリナが、ガルマの部下だったダロタと共に敵討ちに向かう姿が描かれている。その後、仇討ち部隊としてドズル麾下のランバ・ラル隊が地球に降下し、ホワイトベース追撃の任務に当たることになる。
小説版では、シャアの謀略によってではなくガウ攻撃空母で木馬(ペガサス)へ馬鹿正直な正面攻撃を敢行したために、シャアが止めるのも間に合わずメガ粒子砲の直撃を食らって呆気なく戦死という描写がなされている。
放送当時その容姿から女性ファンに対して、シャアと並ぶ人気があり、第10話の放送後カミソリ入りの手紙がサンライズに送りつけられたというエピソードまである。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では「ガルマ編」のみならず、「過去編」でもシャアに強烈なライバル心を抱き、事ある毎に張り合おうとし、やがてライバルから友人として信頼していく姿や、彼が国民的人気を得るようになった出来事などが生き生きと描かれている。またガルマは決して無能ではないが、シャアという圧倒的な才能の前にはかすみがちであり、加えて苦労知らずだったために、むざむざと復讐に燃えるシャアの犠牲になってしまった、という描写がなされている。
バンダイのゲーム『ギレンの野望 ジオンの系譜』ではifシナリオの一つとして、彼が戦死せず兄ドズルやランバ・ラルらを部下に従えイセリナに見守られながら「新生ジオン」の総司令官として立つ「ガルマの栄光?新生ジオン編?」が登場する。ここでの彼はジオン公国の罪を自覚し、その贖罪のために軍を率いるという設定で髪を束ねており、以前の甘さを払拭しようとイメージチェンジを図っている節がある。また、ゲーム『ギレンの野望 特別編 蒼き星の覇者』では、一年戦争でのジオン軍勝利の後に地球圏の掌握をめぐり姉キシリアが率いる「正統ジオン」と敵対するif展開が用意されている。